賃貸用の不動産を所有しようと思う。
とある日の夕食後、妻にそう進言した。
返ってきた答えは
「やめたほうがいいと思う」
予想していた回答だったが、その言い方がとても哀れなものを見るような呆れた様子だった。
これには少しカチンときてしまった。
今回は弱小サラリーマンが一発逆転の狼煙をあげようとせっせと火起こしをしているそばから水をかけられたというお話。
正論
webや書籍で情報を集め、物件をリサーチし、不動産会社とのやり取りを始めていた。
自分なりにこの物件なら現地を見たり、詳細な収支算出に進んだりしてもいいのでは…
という初心者ながらに手ごたえと喜びを感じていた矢先に言われたことだった。

妻は投資も含め不動産事業に携わったことはない。
経験者がやめておけと言うならまだしも、未経験者から頭ごなしに言われるとさすがに腹が立つというものだ。
しかし妻の言っていることが正しい。
少なくとも現時点では。
そもそも不動産を所有して家賃収入を得るという行為は、資金のある者がより効率良く資産を増やす手立てであって一発逆転の超必殺技ではない。
一方で持たざるものが戦うやり方というのもあるかもしれない。
じゃあなぜ不動産に携わる人たち、不動産仲介業者の営業マンなどがそれをやらないのか?
いろんな理由があるだろうが
・そもそも勝算がない。もしくはかなり低くて金と時間をかけるメリットがない。
・まず資本金を溜められない。
・1歩を踏み出す度胸がない。
・単純に興味がない。
などなど。
恐らく1つ目の理由が支配的だろう。

仲介業者の収入源は売買が発生した際に生じる仲介手数料だ。
1000万で売りたいという人と買いたいという人がいればその間に入ってそれぞれから手数料をもらう。
それ自体は何も悪い行為ではない。
ただ、あくまで商売でやっているわけで他人の資産を増やすために存在しているわけではない。
中には親切な人もいるかもしれないが利害関係が成立している上での話。
売り買いが発生する度に利益が生じるので数をこなせば歩合がつく。
極論を言えば買主が損をしようが失敗しようが関係ないし、どうでもよいのだ。
そもそもなんで不動産始めたいの?
今の生活にはとても満足している。
食費や光熱費を切り詰めないと生きていけないとかそういう状況ではない。
ストレスは正直あるが何の不満もなく生きている人なんてそうそういないし、適度なストレスがあってこそ人生は楽しいものだと思っている。

じゃあなんで不動産の取り組みを始めようとしたのか。
それは、、、収入を会社に依存している状況からの脱出が狙いだ。
もっと言うと人生を会社に依存していることの危機感。
将来安泰とは無縁なご時世だ。
今の会社だって10年後には潰れているかもしれない。
そうなった場合でも自分の事業があれば生活は維持できる。
私なりの考えだ。
しかし、それと不動産を所有するのは結びつかないと妻は語る。

確かに会社に依存しないという考えかたはありだと思う。
FIREでいうところのFI(Financial Independence)の部分。
しかし、どこの企業でも通用するようなビジネススキルを有していれば、仮に現職の会社がなくなったとしても他の会社からの引き合いは必ずある。
会社の規模や事業内容にもよるだろうが、企業にとって必要とされるレベルにまで登りつめた実力者がいきなり食いっぱくれるということはないと思う。
依存しないというのはそういう考え方もあるのでは。
脱出というより現状からの逃走という意思を強く感じるとのこと。
もう1つ。
何かを始めるのはいいことだけど、まずは手元で始められるものからにするべき。
要は失敗したとしても笑い飛ばせるくらいの規模からやりなさいということ。
大体、ブログで収益はどうなったのよ?
とまぁこんな感じで圧倒的「理」で詰められた。
なにも言えましぇん。
初のエンカウントがラスボス級だった
事業を始めるのはいいことだと思う。
だけど今好きなものを全て捨ててまで没頭できますか?
週末の晩酌の時間、Youtubeを見る時間、ブログを書く時間、それら全てを捧げられますか?
クルマ通勤から電車通勤に変えて移動中も勉強する。
維持費の安いクルマに乗り換えて資金を溜める。
血の滲むような努力というのはそれでも足りないくらいだと思う。
もしそれでもやりたいのであれば、まずは行動で示し私を納得させてから始めなさい!

旅立ちの村からいざ冒険のフィールドに出ようとしたらラスボスが現れた。
こちらはなけなしの50ゴールドに素っ裸。
攻撃といえば初期装備の短い棒を振り回すことくらい。
今の私の状況を客観的に見るとそんな感じだ。
妻と話しているうちに自分に足りないものが多々あることに気が付いた。
考えに水を差されたようで初めは頭にきたがブレーキをかけてくれて本当に感謝している。

クルマだって走ることだけが全てではない。
曲がるためには減速する必要があるし、止まるべきときにキチンと止まれなければならない。
と、ほぼ負けイベントのような形で話は終了。
だがここで「はい、そうですか」と引き下がってyoutubeを見始めたのでは且つての自分と同じ。
納得させてやろうじゃないの。
弱小サラリーマンのあがきは続く、、、かもしれない。
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